近年増加しているうつ病による記憶力の低下ですが、一般的な物忘れとはメカニズムが異なっています。うつ病による記憶力の低下はうつ病を治療することでしか対処できないので、治療に専念しましょう。

記憶力の低下はうつ病が原因?

年齢を重ねていくうちに、「覚えたはずの物の名前が出てこない」「過去の記憶が曖昧になってしまう」などのお悩みを抱える方は増加していきます。
人間の記憶力のピークは「20歳くらい」と言われており、その後緩やかに下降していくのは、ごく自然な流れなのですね。

とはいえ近年増加傾向にあるのが、「うつ病による記憶力低下」です。
心の病として非常に身近なうつ病ですが、本当に「記憶力」にまで影響を与えることはあるのでしょうか。
またそのメカニズムは、通常の「物忘れ」とはどのように違っているのでしょうか。
「うつ病からくる記憶力低下」の原因や、気になる対処法について解説します。

うつ病で記憶力が低下する原因を知ろう

うつ病で記憶力が低下する原因を知ろう

まずはうつ病からくる記憶力低下についてです。
実際に、うつ病を発症した際に、「記憶力の低下」という症状を訴える方は少なくありません。
うつ病による代表的な症状は、以下のとおりです。

  • ・気分が落ち込む
  • ・あらゆる物事に対して、希望が持てない
  • ・集中力が低下して、仕事がうまくこなせない
  • ・決断できず、優柔不断になってしまう
  • ・記憶力が低下し、些細な物事を覚えていられない
  • ・何をしても面白くない
  • ・不安感が強く、じっとしていられない

うつ病の代表的な症状はいくつもありますが、「物事を覚えていられない」というのもその中の一つ。
上の症状に当てはまるような心の変化を感じ、それと共に記憶力の低下が気になり始めたら、うつ病の可能性を疑ってみるのも良いかもしれません。

さて、ここで気になるのが「なぜ心の病であるうつ病で、記憶力にまで影響が出てしまうのか」という点です。
これには「人間の脳の機能」が深く関連しています。
うつ病は、本来であれば脳内で働くはずの神経伝達物質、セロトニンやノルアドレナリンが減少することで、脳の機能が低下してしまう病気です。
発症すると、人間本来の思考力や集中力が低下してしまいます。
私たちは普段何気なく「物事を脳内に記憶する」という作業を行っていますが、これは脳が充分に考え、そして集中する機能があって初めて成し得る行動なのです。
うつ病により、セロトニンやノルアドレナリンが減少すれば、思考力や集中力が低下します。
すると、これまでと同様の記憶力を発揮することはできなくなってしまいます。
また人との会話や周囲の物事に対する興味関心が薄くなり、心の中に留めておけないケースも増えてくるでしょう。

さらにうつ病に至るまで、そしてうつ病を発症してからの長期間のストレスは、脳を傷つけてしまうこともわかっています。
慢性的なストレスにさらされたとき、人は「ストレスホルモン」を分泌します。
このホルモンは、脳の神経栄養因子を低下させてしまうもの。
この状態が長く継続することで、人間の記憶をつかさどる海馬などに、悪影響を及ぼしてしまいます。
うつ病を患っている患者の中には、この「海馬の萎縮」が確認されるケースも多く、記憶力に悪影響を及ぼしていることがわかります。

物忘れとうつ病による記憶力の低下は全く違う

物忘れとうつ病による記憶力の低下は全く違う

この「うつ病から発生する記憶力の低下」は、通常の物忘れとは全く異なるメカニズムで引き起こされます。
加齢と共に自然な流れで引き起こされる物忘れは、通常、以下の2つの種類に分類されます。

  • ・脳に物事をインプットする機能が低下することによる、記憶力低下
  • ・覚えたはずの物事をアウトプットする機能が低下することによる、記憶力低下

これらの現象は、「脳の老化」によって引き起こされると言われています。
体のほかの部位と同様に、残念ながら脳も徐々に老化してしまいます。
海馬の衰えや脳全体の緩やかな機能低下が原因で引き起こされるのが、通常タイプの物忘れとなっています。

老化による物忘れの場合、脳を活性化させたり、記憶対策成分を配合した専用サプリメントを活用したりすることで、記憶力対策を行える可能性があります。
記憶力にまつわる部位を適切にサポートすることで、脳の働きがアップするというわけですね。

うつ病の回復とともに記憶力も改善される

うつ病の回復とともに記憶力も改善される

近年は、記憶力対策サプリメントも数多く発売されていますから、うつ病で悩んでいるときにも「これは使ってみたい」と思うこともあるかもしれません。
しかし、通常の物忘れとは異なる仕組みで引き起こされる「うつ病による記憶力低下」の場合には、これらの対策がうまく働かない可能性も高いです。

うつ病の場合、記憶力低下の原因となっているのは「うつ病」そのものです。
記憶力低下だけをなんとかしようとしても、それはうまくいきません。
「うつ病」という根本的な問題を解決しなければ、いくら「脳のサポート」を行っても、仕組みがうまく働かないというわけですね。

うつ病の治療は、主に以下のような手法で進められます。

  • ・投薬治療
  • ・十分な休養の確保
  • ・心理的治療

うつ病の治療には、投薬が有効であることがわかっています。
医師から処方される「抗うつ薬」で、心の安定を図れるケースも少なくありません。

ただし「記憶力の低下」という側面からみると、この「抗うつ薬」が新たな問題を引き起こしてしまうケースもあります。
「うつ病の薬を飲んでいるのに、記憶力は全然改善されない」と悩む必要はありません。
多くの人が悩まされているポイントではありますが、日常生活を送る上で支障をきたすようであれば、早めに医師に相談しましょう。
新たなアプローチで、記憶力の問題を解決できる可能性もあります。

またうつ病の治療においては、十分な休養を確保することも重要なポイントとなります。
自分の心と体に負荷をかけるような事象からは、できるだけ離れられるよう工夫してみてください。
もちろん周囲の協力も必要不可決だと言えるでしょう。

最後の心理的治療についてですが、うつ病で悩む人の中には、物事に対して否定的な考えを持ってしまいがちな人も少なくありません。
投薬や休養により、心が安定してきたように思えても、ちょっとした出来事がきっかけでうつ症状がぶり返してしまうこともあるのです。
このような事態を避けるために行われるのが心理的治療で、専門的な知識を持つ医師などと共に、さまざまな物事に対する思考パターンを客観的に分析していきます。
これまでとは異なる思考パターンを身につけることで、ストレスをためにくい体に近付けていくというわけですね。

さて、気になるのが「うつ病」と「記憶力低下」の関連性についてですが、記憶力低下の原因が本当に「うつ病」にあるなら、「うつ病」の改善と共に記憶力も回復することがわかっています。
うつ病患者を見守る家族にとっては、病気の発症から回復まで、もどかしい気持ちで見守らなければならない期間も長くなるでしょう。
しかし病気が改善すれば、記憶力も徐々に元に戻ってきます。
将来を悲観し過ぎずに、温かくサポートする体制を整えるのがベストです。

記憶力が低下すると、物事が覚えられない、覚えたはずの物事がうまく言葉にできないなどの症状に悩まされることになります。
加齢と共に誰の身にも起こり得る問題ですが、実はその裏に「うつ病」という心の病が隠されているケースあるので注意が必要です。

加齢と共に脳の機能が低下することで引き起こされる「物忘れ」は、ある意味で人間としての自然な流れでもあります。
このような場合には、物忘れ対策サプリメントなどを上手に使って、脳や体内の仕組みをそっとサポートしてあげると良いでしょう。
また自分自身で、積極的に脳を活性化するのもオススメの方法です。

一方でうつ病が原因で記憶力低下が引き起こされている場合、これらの対策では思うような効果が期待できません。
サプリメントなどに頼る前に、きちんとした医師の診察を受けると良いでしょう。
うつ病は、適切な治療をしないまま放っておくと、徐々に病状が悪化してしまいます。
サプリメントで様子を見ている間に、脳へのダメージがどんどん進み、記憶力の低下も著しくなってしまう可能性があるのです。
近年は、うつ病を専門的に扱うクリニックも増えていますから、自身の心の状態や記憶力の低下についても、一度しっかりと相談してみるのがオススメです。